認知行動療法ベーシック研修を修了しました

4月18、19日と予約受付を取れずごめんなさい。

東京の 国立精神・神経医療研究センター という精神科医療の「本丸」とも言われる施設に出向いて認知行動療法ベーシックコースの研修を受けてきました。

国立精神神経センター 精神疾患に対する薬物療法が日々進歩しているのは間違いないのですが、
一方でその乱用も懸念され始めております。

薬物療法のみに頼る治療は「剣はあるけれども盾が無い」状態である、と私は考えています。薬物療法の即効性を補う効果として熟練した精神療法の併用が必要で精神療法の研修は是非受けてみたいと思っていました。特に、近年精神疾患の補助療法として注目されている「認知行動療法」について、個人精神療法として導入している施設はまだ静岡には少ないので独自性をクリニックに取り入れてみたい という野望もあります。

 

 

ここからはやや難しい話になります。認知行動療法セミナー

「人の事象を覗いたときに、4つの要素が見えてくる」という考え方が認知行動療法の出発点になります。例えば、「仕事でミスをして上司に怒られてしまった。また怒られるのではないかと思い眠れなくなった」というこころの問題について認知行動療法的な考え方をしてみましょう。4つの要素、「考え方、感情、行動、身体」、という要素にわけてこの要素を考えてみましょう。上司に怒られた、というきっかけを発端にして、「上司に迷惑をかけた」「上司が怖かった」「もう失敗できない」といった「考え方(認知)」が生まれています。その認知から、「恐怖、罪悪感、不安」といった「感情」が生まれます。その結果、「眠れない」という身体症状が出る、あるいは怒られた後に「遅くまで残業して無理して仕事を穴埋めした」あるいは「仕事場から離れてトイレにこもった」などといった「行動」をとることになるでしょう。

この4つの要素、「認知、感情、行動、身体」という要素のうち、私たち精神科医は薬物療法によって「感情」を改善したくなる、あるいは「身体症状」を即効的に改善したくなるものなのですが、認知行動療法では「認知」と「行動」について着目します。人間が「感情」を持つ、特に否定的な感情を持つということは生体の本能に備わったアラーム機能ですぐに訂正は不可能である、とセミナーでは説明があり、確かに言われてみれば、上司に怒られて「怖い」「もう怒られたくない」と思うことは訂正不可能に思えます。しかし、「認知」と「行動」については、人間の意識がそこに多少働いているので訂正は可能である、というのです。怒られたときの「もう失敗できない」という認知は、「いつも常に完璧にやっている人はいるのだろうか」と訂正できたり、「上司が怖い」という認知は、「怖いのは顔だけかもしれない」と……これはどうかわかりませんが、ともかく認知は訂正可能であるというのです。また、その後の行動面に着目すれば、「ミスを挽回しようと無理する必要はなかった」「次にミスをしないよう作業手順を確認すべきだった」といった行動の改善点に気づけるかもしれません。

認知行動療法修了 こうした認知や行動の訂正は時間のかかる治療です。しかも、私たち治療者は先導するではなく患者様の気づきを促す手助けをすべきである、というのです。粘り強く取り組める方向きの治療法だと思いますが、真面目で数字が好きな貴方、いかがでしょうか。

認知行動療法はごく最近になってようやく、認定施設に限られますが保険診療報酬に載りました。当クリニックは「認知行動療法」を掲げて治療を行う施設の登録はまだ得ていませんが、5月14日から診療を開始した際には私の診療技術にこの認知行動療法のエッセンスを取り入れられたら良いなあ などと考えています。

5月12日内覧会、5月14日診療開始です。あっという間に1ヶ月を切りました。皆さまにお会いできるのが楽しみです。よろしくお願いします。